コラム/荒らしについて考えてみよう


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荒らしについて考えてみよう

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序章

さて、どこのサイトに行っても、大抵あるのが掲示板。実際書き込みする人がいるかどうかは別として、多くの場合は、自分のサイトのコンテンツに対する感想、関連する情報の交換、何も関係がない雑談などで成り立っている。一般的に、日本で言われている掲示板は、YY-BOARDリンクは当サイト配布の改造版)のような、だれかがスレッドをたてて、それに対する返信を待つというのが基本的なものだ。2ちゃんねるのような、スレッドフロート式がその代表格といえよう。

海外の掲示板

海外に目を移してみると、大半はこのサイトの掲示板で使用されているような、ID認証式の掲示板が一般的だ。このサイトでは、今のところ荒れる様子がないので、一応登録なしでも書き込みできるようにしているが、たいていの場合、ゲスト(未登録者)は閲覧しかできない。代表的なものには、

などがある。いずれもユーザ認証システムがついている。ちなみに、国内で使われているような、だれでも書き込める掲示板は、海外では一般的に「メッセージボード」と言われている。

掲示板荒らし

どこの世界でも掲示板荒らしというのは、サイト管理人にとって一番頭を悩ます問題である。(ある意味アクセスカウントよりも)なぜならば、一度荒れてしまうと、ほかの人が書きにくくなったり、追従するような書き込みでぼろくそに言われることが、よくあるからである。

現実を例に取ると、落書き、不法投棄などが該当すると思う。放置しておくと、次々に「誰かがやってるんだからまいっか」というような心理で次々に同じことをする人が増えていく。

もちろん、荒らしというのはただ単に、コピーペーストや乱文を書き込むだけのものではない。中には正義を振りかざし、正論っぽく書き込む人もいる。こちらは、荒らしてる自覚がない上、自分がやってることは正しいんだと考えているだけに上記の例よりもたちが悪い。現実を例に取ると捕鯨禁止団体などが該当する。もちろん、明らかにそういう書き込みを導きかねないような、コンテンツを持っている方にも問題はあるが、この手の人間に多いパターンは、たいていの場合、目の前の事しか頭に入ってなく、多くの場合に置いてサイト内の極一部分の内容しかみていない。

最近増えだしたのが、2ちゃんねる(それも、大抵一つの板)などの流儀をそのまま、外部のサイトでしてしまう人。彼らからすれば、その板のルールが外部のサイトでもそのまま通じてしまうものだと思いがちである。たとえば、晒し行為を平気で普通のサイトに乗せるなど、匿名性が保持されてなかったり(IP強制表示など)、アクセス制限をすると「言論の自由を守れ」と叫びまくる人。

ここでは、さまざまな荒らしについて考えてみようと思う。

「荒らし」というのを許容した2ちゃんねる

現在国内サイトで流行している、スレッド・フロート型掲示板が流行するきっかけを作り出した2ちゃんねる*0について考えてみよう。この掲示板はとことん処理がシンプルだ。基本的に今も昔も(外部から直接参照できる)ログ形式は変わってない。名前、メール、コメント。この三つだ。ある事件をきっかけにIPも保存するようになっているが、実際ビジターとしては何の変わりもない。

掲示板というより、webチャットに近い。事実、たとえばテレビの実況スレでは、テレビに映ってた内容で突っ込みたいところがあると、すぐ10スレぐらいレスがつき、2時間で1スレあたり消費(つまり、スレの寿命が2時間)というようなことが、日夜起きている。祭りにでもなると、1時間も持たないということも普通にある。

また、匿名で書き込めるというのも、大きな特徴だ。名前を名乗る必要はない。これが、どれだけ大きなことか?つまり、なにか嫌な事があったら、すぐスレッドに書き込み、反応が鈍いようだったら自作自演して、掲示板やスレッドをそういう雰囲気にさせるということが可能である。しかも「匿名だから自分がやったことはバレないだろう」というような心理で、追従して荒らしてしまう人も多い。

「荒らしは放置」というが

一応、どの板でも「荒らしは放置」というスローガンはあるが、現実問題として多くのスレッドがこれによって潰されていることは間違いない。まじめに書き込む側としては、自分の発言を書いたのに、数レスにわたって続く荒らしにより、スレッドそのものを見る気にさせなくするので大きな迷惑だ。

もちろん、これの対抗策として、基本中の基本である連続投稿防止機能や、あえてスレッドがみんなの目立たせなくするために使用されるsage機能*1、騙り対策としてトリップ、自作自演対策としてID表示などいろいろな対策がなされている。まちBBSの一部の板ではIP強制表示というところもある。この辺のことは2ちゃんwikiを参考にされたし。

荒らしの種類

大きく分けると、

  • コピー&ペースト
  • 意図的に痛い発言をする。
  • 正論っぽく長文を書き込む
  • 全然関係ない話題を持ってくる
  • マルチポスト,広告・宣伝

だと思う。ただ、自分の見る限りだいたいコピペが多いと思われる。

荒らしの問題が、その掲示板だけの問題で済むならいいのだが、2ちゃんねるの台頭がそれをできないようにさせた。今までは、掲示板に考えられる制限(アクセス制限,投稿の削除)をするだけでよかったが、現在では、2ちゃんねる(特にネットWatch板)から個人サイトへあらゆる攻撃をするという構図ができあがってしまっている。もちろん、大半は運営者のサイトの内容にも問題があるわけだが、攻撃の手口はどうしても陰湿かつ執拗で暴走しがちな面が多い。

荒らし行為する人を心理的にとらえてみる。

もしもどこかで自分の書いた書き込みがポジティブに評価されたとしよう。そして、周囲の雰囲気もそれに追従するような流れだった場合、どういう効果をもたらすか?つまり、「そう思うのは自分だけじゃないんだ」という感覚になるだろう。これがさらに進行すると、「間違ってるのはあいつだ」とか、「スレの流れがこうだから、自分たちが言ってることは正しい。」とかんがえてしまいがちになる。その結果、一連の荒らしが起こる。

しかしながら、彼らは(とはいっても大半の人は)あまりにも狭い視野でしかものを見ていない。たとえば、「2ちゃんねらーだ」と公言していても、実際に行く板は2・3板程度で、全2ちゃんねるの板からすれば、利用者の数こそ大小あるにせよ、ほんの一握りだ。

かなり強引な例だが、過去に福岡猫虐待事件*2)というのがあった。この事件は、ペット苦手板のある固定バンドル*3:ディルレヴァンガーが、スレの流れに踊らされて実際猫を殺すところまで実況してしまい、そこから事件へと発覚したというものである。

一見、大きく逸脱した行為をやってしまったDQNちゃねらーと見えてしまうが、それは大きな誤りで、だれもがこのような事をやってしまいかねないという、匿名性の危険性を知らせるものである。なぜならば、先も述べた通りスレッドの流れが、自分の意見にとってポジティブであると、それが正義だと早合点してしまうからだ。

世の中の大半の個人サイトは自己満足で作っている。それに対して、掲示板に否定的な意見だけを書き込むならまだしも、心ないまったく意味がない発言を繰り返す事や別の場所で文句を言ったりされる事はいい迷惑である。しかし、実際荒らしをする人間も、その板にいたずら、自己中心的な正論などを書き込むことによって、「今日も一日一善」というような心境で陶酔しているものだ。

ブロードバンド&ユビキタスネットワークの進化で深刻化する2ちゃんねるの荒らし対策

最近は、最低でも自宅のPC、携帯電話などと、いろいろなホストから書き込めるようになっている。また、プロバイダも複数契約することも、近い将来一般化するだろう。(アメリカや韓国ではすでに一般的)ほかにも、ネットカフェ、店頭のインターネットデモ機などと、IPを変える方法ならいくらでもある。昔と異なり、情報を操作しようと思えば、理論的にいくらでも可能だ。

なぜ、これが荒らし問題に直結するか?

それは、だれもが簡単にIPアドレスを変えることができるからである。この辺の詳細は、コラム/ID強制表示型匿名掲示板の住民は騙しやすい!?でかくとして、匿名性を売りとしている掲示板に情報の匿名性が増えすぎ、結果的にそれによって潰されかねない状態が現実化している。

わかりやすく言うと、これまでの荒らし対策は、特定のホスト(プロクシはIPが漏れていると書き込む事ができる)からの書き込みを制限するだけで対処できた。(具体的な方法はWeb素材/プロクシキック?で掲載予定)しかし、今では、そのホスト自体細分化され、これを変える方法もいくらでもあるので、自作自演の方法によっては、いとも簡単に騙すことができてしまう。

実際、2ちゃんねるに書き込まれる宣伝を例に取ってみよう、削除してもすぐに同じような宣伝が書き込まれているのに気が付くだろう。もちろん、管理側も必死で削除、アクセス規制している。しかし、宣伝する方からすれば、自宅にいてもできるし、携帯からも、ネット喫茶からもできる。

再び海外の掲示板に目を向けてみよう

もちろん、海外の掲示板でも、俗に言う厨な発言は存在する。しかし、大半がスレッドをクリックしないと荒らした形跡を見ることができないし、ユーザ登録制ということもあり、下手に変な投稿をすることができないといったプレッシャーのようなものがある。

また、管理人の権限が強いのも特徴だ。すぐその場でユーザをキックしたりすることができる。

ID認証型掲示板の問題点

しかし、これがいいか?というと、かなり疑問が残る。具体的には

  • ビジターが書き込みにくい
  • あるひとつの意見が評価されると反論しづらい
  • 手続きが煩雑といった、問題点がある。その点匿名掲示板では、適当なこと書いても問題にならないし、ある一方向の意見の流れのスレッドでも、必ずブレーキをかける、いい意味で水を差す人がいるのが長所だ。

荒らしから昇華されたアスキーアート文化

アスキーアートはもともと、あめぞう掲示板で他人をののしる目的で使われたもので、それが2ちゃんねるでもそのまま引き継がれたものだった。2ちゃんねるでもののしる目的でよく使われていたようだが、中にはストーリー性をもたらすといった俗に言う「AA職人」が出てきた事により、独立した板を作るまでにいたった。また、日本語フォントの外字(α、Ω)などや、最近よくみかけるのが、Unicodeフォントを使用したものなどと、1バイト文字にはできないようなものまで、出現している。まさに、偶然が生み出した奇跡の産物といっても過言ではないだろう。

一方海外の掲示板では、この手のアスキーアート文化は皆無である。基本的に管理が厳しく、すぐ荒らしとして削除するのが当たり前だからだろう。そもそも、荒らしをしようという人がいない。荒らしとは、所詮一過性のものだ。理由は簡単、めんどいからだ。

結論

日本のサイトで荒らし行為に対する制裁処置をすると、たいてい「言論の自由を守れ」とか、「IP表示するな」などと文句を言うやからが出てくるが、管理する側からすれば、自分のサイトを守るためにそういった処置をするのは至極当然のことだと思う。また、書き込みに過剰に反応することが多いのも特徴のひとつといえよう。

掲示板が荒れてしまっているサイトを開いている人に一言言いたい。「 *何が、目的でサイトを開いているのか?* 」別に掲示板で気に入らない発言があれば、削除しようが、アクセス制限しようが自由なのだ。自分の思うようにやればいいい。所詮、ネガティブ/ポジティブな意見を書き込むのも、所詮不特定多数の一握りだけに過ぎないのだ。ただし、情報を発する者としての責任と自覚は最低限持つべきだ。アクセス制限、削除などの処置は、その義務に対する権利である。また、それと同時に、自分のサイトもその不特定多数のひとつに過ぎない。そこを忘れないようにしてもらいたい。

また、

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Weblogへの荒らし

ブログの場合、筆者とそれに反応した読者というスタイルができているので、受け入れを禁止することへの不快感がある。アクセス制限することもできるが、荒らし行為に対して非常に弱いのが普通。TypeKeyのようなユーザー認証サービスもあるにはある。掲示板に見られる荒らしと異なり、目的がはっきりしている。

コメントスパム

広告・宣伝が多い。本文と全く関係ない海外の「カジノ」などの宣伝が多い。

トラックバックスパム

検索エンジンへの効果を狙ったものが多い。「一方的に」送られるのが特徴的。


Last Modified: 2005-05-21 03:29:51